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ある時、飼い鳥を売る店の前に、駕籠が止まった

854 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/07/02(土) 21:34:53.99 ID:+iesvHwb
ある時、飼い鳥を売る店の前に、駕籠が止まった。駕籠の中からは人品卑しからぬ老人が顔を出し、
「この店の鶉は、良い声で鳴くのう。値はいか程じゃな?」と、店主に尋ねてきた。

しめたカモだ、と思った店主、「へい、百五十両にございます!」と答えると、老人は憮然として
懐紙を取り出し、何やら書きつけて「これを鶉の鳥カゴに結んでおけ。」と言って去ってしまった。

呆然と駕籠を見送った店主が懐紙を開くと、そこには

“立ちよりて 聞けば鶉の ねも高し さてもよくには ふけるものかな

(鶉の結構な『音』色に誘われて来てみれば、『値』段も結構なものだったとはね。
鶉も笛の如く良く吹くが、店主もまぁ調子良く吹っかけたものだ。)

幽斎玄旨”と書かれていた。

「・・・さては細川幽斎公であられたか!!」
驚いた店主は言われた通り、和歌の書かれた紙を鳥カゴに結びつけると、

『幽斎公お声掛かり』と称して、二百五十両で鶉を売り出した。(幽斎公歌集より)

ウズラカッター ピッコロン

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