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財布の縁

341 :おさかなくわえた名無しさん :2009/05/28(木) 13:27:24 ID:Nui3ji16
数年前の事。
伝統民芸の工房&販売店を親父から引き継いだばかりの頃。

外国人観光客は珍しくはないが,交通の便が悪いド田舎なため,
日本に慣れた個人観光ばかりで団体での観光は少ない地域。
ところが,俺の前職(観光斡旋業)のおかげで舞い込んできた外国人グループ観光のガイド役。
店の休日とかち合ったので引き受け,ガイドの最後に
(お土産を買ってくれるかも,という邪な気持ちもあったが)
俺の店を紹介したんだ。
10人の若いイタリア人男女。
いくつかお買い上げいただいて,帰路についた後。
お店に財布の忘れ物を発見したんだ。
連絡を取ったんだが,なかなか繋がらない。
添乗員・依頼会社のどれも駄目。
結局繋がったのは,彼らが日本を旅立ってしまった後。
財布がなくなった事に気付いたのに,俺の店に忘れたなんて,全く気付かなかったらしい。
依頼会社へ財布を送って本人宅へ送る,
なんてのも他人行儀な感じで嫌だったんで,会社に住所を聞いて俺から送る事にしたんだ。
それだけ送るのも味気なかったし,
財布・簡単な手紙(まあリップサービス半分で忘れ物の詳細と「またのお越しをお待ちしております」なんて締めたやつ)
・店のパンフレットや地域の地図
・パンフレット・ガイドできなかったが周辺じゃ有名な場所の写真
・店のちょっとした小物なんかを一緒に送ったんだよ。

そうしたら,数ヶ月後に,外国から小包が。
送ったお客さんからだった。
女の子だったんだけど,あっちの皮財布&お手紙。
「ありがとう,感謝感激,また行きます。」
なんて書いてあった。
んで,こっちからも返事を送ったら,なんか文通状態になってしまった。

342 :341 :2009/05/28(木) 13:28:06 ID:Nui3ji16
続き

そして,1年後。
彼女だけ再来日。
文通を続けていたから友達感覚で,滞在期間はうちにホームスティ。
送った写真の場所やその他いくつかガイドした。
話を聞いてみると,他国じゃお店でも,そこまでしないらしいな。
財布を無くせば,出てこないのが当たり前らしい。
実は彼女の父親が皮を扱う職人で,
その財布も彼女の父親が彼女のために作ってくれたモノだったらしい。
それが無くなって悲しんでいたところへ,俺が送ってくれて,感謝感激だったらしい。
そして,彼女が帰る頃には,俺の両親や兄弟とも仲良くなっていた彼女。
帰る時は,みんなで涙の別れをやってしまいました。

それから,数年。
なんだかんだで文通&時々行ったり来たりを続ける間柄となり。
彼女が,日本に住み始め。

昨日,イタリアの彼女の家へ行って,結婚する了解を得てきました。
来年の春挙式予定で,進めています。

ンな訳で,ほのぼの出来るか判らないけど,俺がほのぼのしているんで,記念カキコ。

京都友禅の彩色と奈良ヤマト木綿の染色、友禅文庫のフラップウォレット(長財布)

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